銀八先生が話されたように、担当の横島が、『東京 マラソン』の話を書きます。
2012年2月26日のこの日は、東京都心部で行われていたマラソン大会には、エリートランナー向けのフルマラソンである「東京国際マラソン」(男子)、「東京国際女子マラソン」と市民ランナー・障害者向けの10kmロードレースである「東京シティロードレース」の2つがあったが、それらを一つにまとめた上で、「ニューヨークシティマラソン」、「ロンドンマラソン」、「ボストンマラソン」に匹敵するような市民参加型の大規模シティマラソンとして計画され開催された。2010年には国際陸上競技連盟(IAAF)が世界のロードレースを格付けする制度において、ニューヨークマラソン等と同じ市民参加型の大規模レースとして最高位である日本唯一のゴールドラベルを獲得した。
もともと、都民を中心とした草の根レベルでは都心部の公道を使用した大規模なマラソン大会を希望する声があり、その実現を願って市民主導のNPO法人主催による、「歩道を使い、信号を遵守する」という形の市民マラソン大会「東京夢舞いマラソン」が2001年から実際に行われてきた。その願いを「東京マラソン」という形で実現させるにあたっては、東京都庁、特に石原慎太郎東京都知事が主導的役割を果たした。石原は2003年、「経済波及効果、スポーツや観光の振興につながる」と述べ、銀座などの目抜き通りを走る構想を発表。当時の副知事が陸連幹部に対して石原知事の意向として東京での大型マラソンの検討を打診して調整し、2007年に大会が実現した。
開催に際し、事務局サイドが想定した制限時間は7時間だった。一般的な市民マラソンの制限時間は5-6時間であり、公道を警備する警視庁が求めた時間は5時間であったが、石原都知事がニューヨークシティマラソンを視察した際に現地のランナーから「東京マラソンの制限時間は7時間にしてください」と要望されたことが念頭にあった。東京マラソンの実現が現実味を帯びると、組織委員会の実務責任者だった遠藤雅彦は「7時間を一歩も譲るな」と担当者に指示、折衝は難航を極めるが、最終的には石原都知事の後押しもあって、事務局サイドの主張が通る形となった。
また石原は東京マラソンの実現にあたっては東京オリンピック構想へのアピールも兼ねていると語っている。
2011年の大会には約30万人の応募者から選ばれた約3万6千人が参加し沿道には200万人の観衆が集まるなど、東京における一大イベントとなった。(2008年2月15日の会見で大会会長でもある石原都知事は「将来的に5万人にしたい」と目標を述べた。「東京マラソン2010」では参加定員が一部見直され、マラソンの定員が前回の「東京マラソン2009」より2,000人増えて32,000人に、一方で10kmの定員が2,000人減って3,000人となる)。2011年大会はマラソンと10kmで合わせて、335,147人応募し、応募抽選倍率はマラソンが9.2倍、10kmが13.6倍と、非常に人気の高い大会となっている。
参加エントリーも男女フルマラソン、男女10kmロード、車いすマラソン(フルマラソン)、障害者(車いすの部、視覚障害者、知的障害者、移植者)10kmと幅が広いことが特徴。コースも「東京国際マラソン」のコースから大幅に変更され、通常は走ることのできない都心の車道を走行できるとあって国内外の市民ランナーの注目を集める大会となっている。また、石原都知事が2009年3月19日の定例会見において「多額の参加費を支払う人の別参加枠を 1,000人ほど設けて、参加費を超える部分をチャリティに使いたい」と目標を述べ、2010年10月15日の定例会見で、チャリティー枠を1,000人募集すると発表。2011年大会からチャリティー参加枠が実現し、チャリティー枠707名が参加し、約7,300万円の寄付金が集まり、東日本大震災の復興支援などに充てられた。
男子フルマラソン(選考会の部)については東京国際マラソンの後継大会として位置づけられており(東京国際マラソンは2006年の第27回大会で終了)、世界陸上選手権をはじめとする国際大会の代表選考レースとなっている。一方で、女子フルマラソンについては2008年まで「東京国際女子マラソン」が「東京マラソン」と並行して行われており、2009年からは「東京国際女子マラソン」の事実上の後継大会として「横浜国際女子マラソン」が開催されるため、「東京マラソン」は事実上のオープン大会となっている(ただし選考状況次第では参考にされる場合もある)。
「東京マラソン」の名称は、日本陸上競技連盟によって商標登録(登録商標日本第4952187号)されている。
第1回・第2回大会は、「東京国際マラソン」の日程に準じた2月の第3日曜日に行われたが、2009年の第3回大会は3月22日に繰り下げて開催された。第4回大会以降は2月の第4日曜日に実施される見通しである。またこの大会では女子についても代表選考レースとして実施する方向で調整を行うという。しかし3月中旬以降の開催ではトップ選手が参加しづらい事情もあることから、第4回大会以降では必要ならばコースも含めた変更も行われる可能性がある。また世界の主要マラソン大会に倣って、2009年から日本のマラソン大会としては初、総額賞金1億840万円(ただし、世界記録更新された場合という条件付きのボーナス賞金も含まれている)の賞金レースとなった。
このような東京マラソンの人気を受け、大阪府においても、2011年から3万人規模の市民参加型マラソン大会(大阪マラソン)の実施を決定している他、都市型市民フルマラソンの草分けである北海道マラソンも規模を拡大するなど全国各地に影響を及ぼしたと記されている。

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