前記事の続きですが、バート・バカラックの思い出の中で唯一つだけ思い出したくない経験がありました〜
バカラック本人に嫌な印象があるはずは
ご・ざ・い・ま・せ・ん。彼が紡ぎだす音楽を心から愛している私ですもの。こんなメロディーが頭の中に入っているバカラックという存在が私にとってどうすることも出来ないほど物凄く大きいのです。
でも
時効だから良いわね。
アさて、アさて、アさてさてさてさて♪さては南京玉すだれ♪〜それは何かというならば〜
(少々長いかもしれませんが 最後までお付き合いくださいね)
ヘンテコリンな経緯から私が書いた文が記事になった事件簿
〜告白のはじまり〜
あれは〜私が20代前半の頃でした・・・(静かに居住まいを正す)
高校生の頃からの男友達(年下)から電話がありました。
「悪いけど、来週京都と大阪にバート・バカラックの取材行ってくれない?僕は都はるみの取材に行くことになった。たのむ!」(バカラックと都はるみ・・・どっち取る?普通)
「ライターと一緒だけど頼むね(がちゃん)」
「うっ」
という訳で初対面のガリガリに痩せた背ばかり高いヨレヨレコートの30歳くらいのTという男性と新幹線でまずは大阪へ。
早い話が、このライターが問題でした。
大阪駅からコンサート会場へ直行。
私は大阪フェスティバルホールの「バカラックと彼のオーケストラ」に陶酔。楽屋で取材するのかと思ったら彼は何するでもなくウロウロしているだけ。
私はどちらかというと、とっつきにくい方だと思いますが、その様相からその上を行く人でした。
プロのライターのはずなのに「仕事しないのか?」と側で私はヤキモキしたが、お互いとっつきにくい同士の相性の悪さからか、私は黙っていた〜何か段取りがあるのだろう、とも思っていたわけです。
結局、初日は何の成果もなし!
私に何の説明も依頼もなし。
そのままあくる日の公演を追うためにバカラックご一行様と同じ京都藤田ホテルへ移動。
大した会話もせず各部屋にて就寝。
しかし心配だった私は寝る前に「こんな調子で取材は無理じゃないか」と東京の友人に電話。
「そりゃあ困ったな。そんな人じゃないんだけど。確かに英語は喋れないみたいだけど。ま、そこはなんとかやってくれ。こっちも忙しいんで。(がちゃん)」
私「く===!!」

そして明くる昼、夕方の公演まで暇なのでロビーに降りましてくつろいでいると、ぬゎあんとバカラックも一人でロビーで寛いでるではないか。ドキドキ。
ラッキーなことに、ライターTは行方不明。こっちから連絡もしないけど!
儚げな若き私にはドギマギするだけで話し掛ける言葉も見つかりませんでした。要するに勇気なし。今とは全然違う。
彼は私に何回も微笑みかけてくれて、今にも私に話かけてくる(あくまで想像)という感じ!
一回くらいウィンクされたような・・・・気もする。
ああ勿体無い、勿体無い。今ならなあ〜とつくづく思う。
しばらくすると彼はホテルを出て行ってホテルの前の鴨川に行き水辺のお散歩をしたのです。私もあとを付いて外に出てずっと彼を見ていました。世界的に有名で人気の作曲家がたった一人で京都の川原を散歩している。
そんな風景は40年以上たった今でもはっきりまぶたに浮かびます。
まもなくホテルからオーケストラの団員がぞろぞろと出てきて「時間だ」とバカラックに呼びかけをして、私とバカラックの甘い時間が終わりました。
その日は夜の公演で私たちは客席でなく舞台の袖から見させてもらいました。これには私も大満足。
アホなライターも満足げでした。しかし何もせず。
友達から「ライターが取材するからそのアシスタントをたのむ」 と言われたのに。
なあんもしないじゃないか!片言でも良いから英語を駆使してインタビューしたらどうなの?アシストの仕様もありませ〜ん。
日本公演も終了したわけです。
もうインタビューの機会はありません。でもまあ仕方ない。
結局、何の成果もないまま河原町へ、今回私を出張させた友達の知り合いの呑みやさんへ。
無言のまま私は付いていきましたが、お酒は飲まず(飲めず)食事をしている間にアホなライターTはがぶがぶお酒ばかり飲んで、最低なことに「バカラックが何だ!ウィ〜ッ」と、絵に描いたような酔っ払いぶり。
私がこの世で一番嫌いな人種ヨッパライは遂に倒れた!バターンと。お〜いやだ。
友達の知り合いの店なので気を使ってくれた店主は飲み食い代金も受け取らずタクシーを呼んでくれました。まったく面目ない! 決して私の知り合いでも何でもない全然関係ない人なんですと言いたかった〜!
仕方なくホテルに戻り彼を部屋に放り込み、私は階下の自分の部屋でサッサと寝ました。
「もういやだ。ああいう人とは行動したくない。明日は早くに一人で帰っちゃおう。決めた!」
明くる朝、私は連絡もせずさっさと一人で帰ってしまいました!
東京に帰ったあくる日、友人から困り声の電話があり渋谷の事務所に行くと、私の顔を見るなり
ふてくされ顔になったライターTがいた〜〜。黙って帰ったことを怒っているらしいが、その前に自分の仕事に対する不甲斐なさと河原町の店にかけた多大な迷惑を謝るべきでしょ。私よりずっと年上なのにそのくらいの礼儀、いや常識もないのか!〜

結局、彼は取材費(含む:宿泊費、交通費、アシスタント代)相当の仕事を何一つして来なかったのです。

そこで、ジャジャーン。思いがけずバカラックの独り散歩の一部始終を目撃していた私が「感想文」を書くことに。
そしてプロの手で修正して貰ってライターの名で掲載されたのが

これなのでした。
1971/6 通巻NO.1 創刊号「nonno」(「ノンノ・創刊号」)
表紙モデル:アンシュカ・エクマン // 『 創刊特別企画〜ヨーロッパ特派取材:紺碧海岸を行く〜 』カメラ:増渕達夫 // 『 ファッション 』ノンノ・オリジナル:コットンブライド / この夏、ホットパンツをものにしよう / シャツの新しいフィーリング / ムームーがこんなにラブリーだなんて / ジーンズの味〜素肌に着るのがサイコウ! 、このタッチにホレてます〜 // 『 ショッピング 』恋のファッショングラス / 個性をいかすビューティフルな小物 / 70円の絵はがきで作る小さな美術館 // 『 ビューティ 』もし大人の恋をしたいなら / '71ドラマティック・ヘア // 『 ジャーナル 』愛の証:エンゲージリング拝見 /
バート・バカラック:意外な42歳の素顔 / 祝福の渦の中で:石坂浩二 / ニューヨークの歩行者天国:大石尚 / アンケート:今あなたはだれとナニをしたいか / "着る"ということ / パリ今のエスプリ / ファッション情報 / 映画"火の森"レイの裸にしびれたい人は / 最新映画"ラブシーン全調査" / カトリーヌ・ドヌーブ、その魔性の美しさ / 中世の香りただようアダモの館 / スピードと恋に賭ける:風戸裕 // 『 レジャー 』ドライブのお弁当 / お登勢のアーチェリー入門 / 走ってみよう歩いてみよう"奥大井渓谷" // 『 ストーリー 』スキニー小説〜密になるまで:草鹿宏〜 / 風は美しかったけれど〜文:安井かずみ 、カメラ:ケン影岡〜 // 『 コミック 』ノンノ・コミック〜ホヤホヤなんです:作・本村三四子〜 // 『 コラム 』ミニレッスン:英語・フランス語ペーラペラ / ワイルドジョッキー〜Pink & Black:橋本てつや〜 / ノンノレポート / ドリンク・スポット:女同士で飲みにいかなーい // 『 特別企画 』心理テスト:あなたはほんとうに女性? / ピンナップ:ミコノス島の初夏 / ミュージック・ジャケット:ある愛の詩 / 保存版・手芸カード / とじこみカラー別冊:レディース版・愛の西洋占星術
長文を読んでくださり有難うございました。今まで人に話したことがなかっただけにスッキリ〜感。
My Funny Valentine

I Love You


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